これもあいきょうのうち

とてもとても ちいさな時計は
とにかく すぐに止まる
ゼンマイを巻いて オイルを注しても
あきれるほどに 止まってしまう

へぇ 困ったな と思いながら
わたしはミトンを編んでいた
編みながら 振り子の音を聴いていた
あれ…？ コッチコッチ 鳴ってる
なかをよく見てみたら
ムーブメントが斜めに付いていた
あぁ そうか そうか…

壁にもどした時計を
まっすぐではなく 斜めに掛けてみた
今までとちがって コッチッコッチッと
等しく振り子が動きはじめた

はぁ… アンタはそれが良かったんやなぁ
って笑ってしまった

ながいこと時計屋さんで眠っていた時計は
かなり傾いてはいるものの
こうして機嫌良く動いている